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星組トップスター 湖月わたるが退団会見
さわやかに次の道 父との約束 大学受験
2月14日(火) by 平松澄子 photo by 奥地史佳
会見したわたるさん 宝塚歌劇団星組トップスター、湖月わたるが14日午前、大阪市内のホテルで記者会見し、星組「愛するには短すぎる」「ネオ・ダンディズム」東京公演千秋楽(11月12日)で退団することを明らかにした。

オフホワイトのパンツスーツで会見場に現れた湖月。表情はさわやかだった。

まず、宝塚歌劇団の小林公一理事長が「スケールの大きな宝塚らしいスターとして歌劇団を支えてくれた。貢献大で退団は惜しまれます」と口火を切った。

湖月は「11月12日をもって宝塚歌劇団を卒業させていただきます」とあいさつ。

「さまざまな方から『男役を極めてきたね』とおっしゃっていただけるようになり、自分でも昨年秋のソウル公演で、ある達成感を感じました」

後進に道を譲るのもひとつの選択
背中を押したのは「『ベルサイユのばら』のフェルゼン役に出合えたこと」だったという。

「人生を考えるきっかけになったと思います。ベルばら星組公演1幕のラストに、愛する人のために新しい旅立ちをする場面があります」

星組の「ベルサイユのばら〜フェルゼンとアントワネット編」では1幕の終わりに、「宮殿大広間」のシーンが新しく加えられた。フランス国王ルイ16世のもとへ、フェルゼンがスウェーデンへ帰国するあいさつに訪れる。王妃マリー・アントワネットの力になってほしいと引き止める国王に、フェルゼンは、このままフランスに滞在しては愛する人に迷惑がかかると、王妃への愛を心に秘めて去っていく。感動的なシーンだ。

「フェルゼンは愛する人のために、美しい思い出を胸に新しく旅立って行きます。星組を愛するがゆえに、後進に道を譲り、次の道に進み出すこともひとつの選択肢だと考えるようになりました」

会見したわたるさん


父との約束 大学進学
では、次の道は何か。大学に進学することだと明かした。

湖月は埼玉県出身で、中学卒業後の昭和62年に宝塚音楽学校に入学した。

「宝塚を受験するときからの父との約束でもあります。宝塚に入ったことで、いろいろなことを勉強させていただきました。でも、できなかったこともあります。勉強したいこともあるので、これからはそうしたことに挑戦していきたい。まずは合格してからのことなので、何をしたいのかを今言うことはできませんが、大学入学資格検定(大検)の準備も進めていてラストスパートの段階。勉強に専念して来春に向けて歩み出したいと思っています」

女優への転身や、結婚の予定はないのか、などの質問も飛んだが、「女優というのはまだピンとこないし、結婚はひとりでできるものではないので、予定はありません。今の気持ちでは(退団後は)勉強に専念したいと思っております」ときっぱり。

真っ白と赤い情熱
初舞台は元年で翌年、星組に配属。174cmの長身とダイナミックなダンスで早くから注目され、ニューヨークやロンドンなど海外公演では大きな戦力となった。6年に「若き日の唄は忘れじ」の文四郎役で新人公演初主演。9年の東京特別公演「夜明けの天使たち」のアルヴァ役で初主演を果たす。10年の香港公演に参加した後、宙組に組替え。「エリザベート」のルキーニ役、宝塚バウホール公演の初主演作「TEMPEST」が印象深い。

12年6月には新専科制度にともない専科入り。大阪シアター・ドラマシティ公演「月夜歌聲」の主演、東京・日生劇場公演「風と共に去りぬ」のアシュレ役や初めて女優として外部出演した「フォーチュン・クッキー」などを経て、15年2月に 星組に戻り、全国ツアー公演からトップに就任した。娘役トップ、檀れいとのコンビはひときわ大型で華やか。お披露目公演の「王家に捧ぐ歌」ではエジプトの将軍ラダメスを好演。この作品は文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞し、さらに16年のショー「ロマンチカ宝塚’04」でも連続して芸術祭賞を受賞した。

会見したわたるさん


昨年9月の「ベルばら」全国ツアー公演から、相手役の娘役トップが白羽ゆりに変わり、宝塚初の韓国公演を大成功に導く。今年は元日から「ベルばら」の星組公演で大きさと温かみのあるフェルゼンを体現したほか、雪組の「〜オスカル編」では3日間だけアンド役で特別出演して、朝海ひかるのオスカルを包容力あふれる演技で包み、喝采を浴びた。

星組の「〜フェルゼンとマリー・アントワネット編」の東京宝塚劇場公演は17日に初日を迎えるが、その宝塚でのけい古の最後となった13日に、仲間たちに退団することを告げたそうだ。

「たくさんの組子たちが涙を流してくれました。たくさんの愛を受け止めて卒業できることを幸せに思います」と、グッと言葉をかみ締めた。

現在の心境を色にたとえると? そう聞かれると「真っ白と赤い情熱が入り混じっています」と答え、「卒業するその日まで、男役を全うしたい。ひとつひとつの舞台を私らしく挑戦していきたいと思っていますので、ファンのみなさまも最後まで応援をよろしくお願いします」と、律儀に、丁寧に会見を終えた。

なお、小林理事長には「星組の次期トップスターはだれか?」と、具体的なスターの名前を挙げての質問まで飛んだが、「この場で公表するのは控えます」と明言を避けた。



湖月わたる 今後の予定
2月17日(金)〜4月2日(日) <東京宝塚劇場>
マリー・アントワネット生誕250周年記念 三井住友VISAシアター
『ベルサイユのばら』―フェルゼンとマリー・アントワネット編―
脚本・演出 植田紳爾/演出 谷 正純
4月19日(水)〜4月24日(月) <梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ>
湖月わたるダンシング・リサイタル『Across』 
構成・演出・振付/上島雪夫(一部)構成・演出/荻田浩一(二部)
4月27日(木)〜5月2日(火) <サンシャイン劇場>
湖月わたるダンシング・リサイタル『Across』 
構成・演出・振付/上島雪夫(一部)構成・演出/荻田浩一(二部)
6月3日(土)〜6月19日(月)<梅田芸術劇場メインホール>
ミュージカル『コパカバーナ』 
演出/三木章雄 日本語脚本・訳詞/高平哲郎
8月11日(金)〜9月18日(月) <宝塚大劇場> 
ミュージカル『愛するには短すぎる』 
原案/小林公平 脚本・演出/正塚晴彦
ロマンチック・レビュー『ネオ・ダンディズム』
作・演出/岡田敬二
9月1日(金)、9月2日(土)
TCAスペシャル2006
9月24日(日)、9月25日(月)<パレスホテル>
湖月わたるディナーショー『題未定』 作・演出/未定
10月2日(月) <ホテル阪急インターナショナル>
湖月わたるディナーショー『題未定』 作・演出/未定
10月6日(金)〜11月12日(日) <東京宝塚劇場>
ミュージカル『愛するには短すぎる』 
原案/小林公平 脚本・演出/正塚晴彦
ロマンチック・レビュー『ネオ・ダンディズム』
作・演出/岡田敬二


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